裸のランチ

 こんにちは。春ですね。

 

 前回の記事は「オン・ザ・ロード」に心揺さぶられた勢いで書いたので文体もそれに寄っていたのですが、普段はこんな感じです。では今回も駄文を連ねていきます。よろしくどうぞ。

 

 昨日、春うららな陽気の中、大学の図書館で「裸のランチ」を読み終えました。ウィリアム・バロウズ著。鮎川信夫訳。河出文庫

 

 

 バロウズも前回のケルアックと同じくビートジェネレーションの作家ですね。あともう一人この流れで有名な作家としてはアレン・ギンズバーグがいますが、こちらは日本語訳が少ないようですね。これらの作家たちは仲が良いらしく、「オン・ザ・ロード」の解説ページにはテーブルを共に囲っている写真がありました。「裸のランチ」というタイトルもケルアックがつけたらしいです。そもそも「オン・ザ・ロード」本編にもバロウズギンズバーグがモデルの人物が出てきます。カーロ・マルクスギンズバーグ、オールド・ブル・リーがバロウズのモデルとされています。そのオールド・ブル・リーですが、作中ではニューオリンズに住む麻薬中毒者として書かれていて、実際バロウズ自身も極度の麻薬中毒者なのでした。

 

 「裸のランチ」は宣誓書という副題のついた序文から始まりますが、ここでバロウズはひたすらに麻薬の話をしています。麻薬中毒を抜け出した人がしがちな、地獄だった当時を振り返るような書き方ではなく、バロウズがかなり淡々と麻薬の効果や療法について語っていました。これは結構面白いポイントでしたね。というかここが作品の中で一番面白いポイントだったと思います。

 

 ということで、序文を抜けると始まる300ページほどの本文ですが、僕にはさっぱりでした。完成されたテキストを一度バラバラにして再編するカットアップ技法(デヴィット・ボウイもこれを使って作詞していたらしいですね)が使われている実験小説だと知ってはいたのですが、まさかここまでとは。本当に語るのが難しい。頭の中のイメージがすさまじい勢いで変容して、気づくと文字の上を目が滑っている…という状態がずっと続きました。麻薬という一貫したテーマのもとリー、A・Jやベンウェイ医師等の登場人物のやり取りがあるのはおぼろげには分かりますが、彼らのプロフィール、関係性を書けと言われると僕は一行もかけずに降参してしまいますね。会話文がかなり多いはずなのですが地の文に会話文が高い頻度で混入しているし、主語の推定がしにくい、というかそもそも状況がつかめないので話者の特定が困難です。超現実的なイメージの嵐が300ページ休む間もなく吹き荒れます。こりゃ麻薬使ってなきゃ書けませんわな、というのが全体を通した感想です。逆に麻薬を使用して読めば理解できるかもしれませんね。そうなりたいとは思いませんが。

 

 

つぎは分かりやすいものを読みたい。