競売ナンバー49の叫び

 こんにちは。またまたお久しぶりです。

 

 二週間ほど前にトマス・ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』を読みました。

 

 二週間前。はい。二週間前です。もうほとんど内容覚えてないです。内容も内容ですからね。しかも大学の図書館で借りて読んだので今手元に参照できるものがありません。では、いつも以上に駄文を連ねていきます。

 

 トマス・ピンチョンというとポストモダン文学の筆頭ですね。ポストモダン文学とは。これはWikipediaを見てもらえばなんか長々と書いてくれているのですが、まとめると近代文学へのアンチテーゼってだけで明確な定義はないらしいですね。僕はなんとなく実験的なことしてたら「ポストモダンだ!」って叫ぶようにしてます。ビートジェネレーションもポストモダンに含まれるらしいですね。確かにバロウズは実験的であった…。

 数あるポストモダン文学作品の中でもピンチョンの作品はその長大さ難解さで異彩を放っています。代表作『重力の虹』が大学の書店においてあるのですがデカいわ値段も高いわで見るたびに笑ってしまいます。そうそう、日本のバンド『相対性理論』のボーカルやくしまるえつこはこの『重力の虹』が好きなんだとか。ピンチョンが好きな女の子とかたまらないですね。絶対めんどくさい人なんでしょうけど。『相対性理論』を組む前は『熱海のピンチョン』として活動してたらしいですよ。

 

 

 ところでこれを読んでいる方、神からの啓示、受けてますか?僕はたまに啓示を受けることがあって、三週間ほど前に夢の中で何者かから「お前はピンチョンを読むべきだ」という啓示を受けたので、今回ピンチョンを読む運びとなりました。しかも「まず初めに読むべきは『競売ナンバー49の叫び』だ」という作品指定までしてくれました。神様か何か知りませんけど随分親切です。

 

 『競売ナンバー49の叫び』はピンチョン作品の中でも一番読みやすいらしく、よく入門書として挙げられています。が、それでもやはりピンチョン、難解でした。

 大まかなあらすじとしてはいたって普通の人妻(いや、絶対に美人)のエディパが元々付き合っていた不動産王の遺産管理執行人に指名され、残された切手のコレクションから謎の闇郵便組織「トリステロ」を発見、そしてその謎を追っていくと神聖ローマ帝国時代の争いやら劇団の版違いの台本やらと謎が謎を呼び、そして最後には…という感じです。全体のテーマとしてはやはりパラノイアでしょうか。トリステロは実際に存在するのか、それとも全てエディパの妄想なのか、という煩悶が執拗に語られます。その合間合間にペダンティックな話(歴史的な話は本当にさっぱりでした、何言ってたか何も覚えてません。科学的な話はマクスウェルの悪魔の話が出てきました)が挟まれるので読み通すのにとても体力がいるな…と感じましたね。

 トリステロをめぐってエディパが街を駆けていると至る所にトリステロのマーク(ミュート付きのラッパ)が現れてエディパのパラノイアが加速する、という場面がとても印象的なのですが、この辺りを読んでいる時に息抜きでツイッターを眺めているとトリステロのマークをアイコンにしている人のツイートがタイムラインに流れてきて戦慄しました。あと今思い出したのですがこれ読んでる時期にサークルの後輩たちが何故か正露丸の話をしていましたね。ラッパのマーク。不思議なものです。

 

 語られるもの自体は難解ですがピンチョンの文体は結構軽やかで読みやすいです。啓示を受けずとも読んでみることをおすすめします。僕は二年後ぐらいに再読しようかな。