世界音痴

 最近、また入眠障害に悩まされている。昨日はいざ眠らん、とベッドにもぐりこんだのが23時で、そこから3時まで一向に眠れる気配がなく、動かないタイムラインや少し攻めた内容の深夜番組を眺めてはどうして僕がこんな目に合わなければいけないのだろうと考えていた。

 

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カラマーゾフの兄弟

 4月から研究室生活が始まった。朝の九時から夕方まで狭い実験室に閉じこもっている。夏には院試もあるし、この調子ではしばらく本は読めそうにないなと思っていた。そんな時に、ゴールデンウィークには研究室が無いことが発覚した。てっきり10連休の間も数日間は実験があるものだと考えていたから、予定を埋めておらず、急にぽっかりと時間ができてしまった。じゃあせっかくだし、長い小説でも読もうかと思い、僕は本の山から『カラマーゾフの兄弟』を手に取った。

 

 

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笙野頼子三冠小説集

 ちょうど一か月前になるが、引っ越しをした。だいぶ新しい街に慣れてきたところだが、まだ中身を取り出していない段ボールがいくつかある。小説が詰まった段ボールも昨日ほどいたばかりだ。

 

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浴室

 こんにちは。

 

 引っ越しというのは人の心を惑わせるものだ。来週には新しい部屋に住んでいるということをぼんやり考えていると、ラーメン屋のお冷を倒してしまって、我に返った。そんなぼんやりした頭ながらも、もう少しこの街を探検しておくかと思い、これまで入るのを躊躇っていた古本屋に足を踏み入れてみたりする。そんな経緯でジャン=フィリップ・トゥーサンの『浴室』を見つけた。

 

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2/8

 最近よく歌を歌っている。耳コピできるような技量は持ち合わせていないので、ネットに落ちているコード譜を見ながらandymoriとかpillowsとかを歌っている。隣人から抗議を受けたことはないからちょっと大きめの声で。声域が狭いから声がひっくり返っちゃう時もよくあって、誰に聞かれているというわけでもないが恥ずかしくなってしまったりもする。

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1/22

 冬が来ている。去年から僕のもとに訪れるようになった冬。化け物のようであり、僕を圧倒して去っていく。気体のようであり、掴みどころがないまま去っていく。冬が来ている、ということしか分からないまま、流れ、街の木々に名前も知らない蕾ができていく。

 

 あなたはこの一年間、何をしてきましたか?と奨学金継続願申込ページが訪ねてくる。何をしてきましたか?と僕は僕に問う。答えられない僕はさらにその奥にいる僕に問う、何をしてきましたか?以後、繰り返し。何をしてきましたか?何をしてきましたか?何を…。

 

 僕ほんとはいろんなこといつも考えてきたのに、とゆらゆら帝国が歌っている。その通り、僕は本当にいろんなことを考えてきたんだよな、と思いながら何も言わずに朝起きて、飯を食べて、シャワーを浴びて、寝る。〇でも×でもないものをわかってほしい、とも歌っている。分かってほしい。

 

 洪水のような感情を流れが僕を動かすことはなく、布団の中で目を見開いているだけ。あるいは、取っ散らかった言葉を並べ立てて喜んでいるだけ。人間は考え、そして言葉を話すべきだと、分かってはいるが21歳になってもそれが上手くできない。上手くできないまま、何も為せずに、面白くない方へ沈んでいく。

 

 俺には何もない。部屋にはたくさんの何かがあるようで、実際それらは何物でもない。たくさんの何かを考えているようで、実際何も考えていない。前にも後ろにも進まず、右にも左にも寄り道をせず、その場で少しよろめいて、大丈夫?と言う声を待ち望んでいる。なんてダサいんだろう。