2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

藤富保男詩集

「でたらめなんて、かんたんだよ」 きみは、いった。 「じゃあ、しゃべってみて」 「きゅうにいわれても」 きみは、くちを、とがらした。「ちゃんと考えたらできるけど」 「ほら」 ぼくは、いった。「でたらめって、ちゃんと考えなきゃできないんだ」

他人の顔

高校生の頃、僕はいわゆる理数科コースに所属していた。そのコースには男女合わせて80人ほどでクラスは2つしかない。だから三年間同じクラスで高校生活を共にした子が何人かいた。その何人かの中で、少し変わった女の子がいた。