はじめまして現代川柳
結局、結局なんだよな。今自分が一人で暮らしている場所と、家族がいる実家では時の流れ方が違うのだし、長い長い電車の時間も活字を見るのに適してないんだよな。いや、適さなくなったのは時間の方ではなく、僕の方で、少しの距離の移動で心と体がずれるようになってしまったのだった。
続きを読むこわれそうです本日晴天/佐藤みさ子
ねえ、夢で、醤油借りたの俺ですか?/柳本々々
美しい鍵だ使えば戻れない/竹井紫乙
グミ・チョコレート・パイン
隣のクラスにものすごい美人がいるぞ、ということを聞いたのは僕が高校一年生の頃だった。入学したての慌ただしさも薄れて、みんなが落ち着きを持ち、部活動などで周りの人間との関係性が構築され始めた5月の頃のことだったと思う。僕自身、興味はあったのだが、わざわざその子の顔を見にいくためだけに、知り合いもいない隣のクラスに乗り込むのは気が引けたので、「ふぅん」と言って、気に留めていない体を装っていた。僕が所属していた数理化学科は2クラスしかなかったので、2年か3年の時に同じクラスになるだろうとぼんやり思っていた。
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人として軸がブレている
日々の激しい流れの中をもがくように生きていると、4月も終わりを迎えようとしていて、街はすっかり新緑といった様相。2月には街の骨のように見えていた木々にも、ワサワサと葉が生い茂っている。道路沿いにはコデマリとサツキの花が咲き乱れていて、桜の時期とはまた異なる春の心地よさを感じさせてくれる。天候は基本的に快晴。暑さを感じるほどでもなく、吹く風はどこまでも涼しい。妙に歩きたくなる毎日。僕は陰鬱とした気分で筋肉少女帯を聴いている。
「昔、ある歌手は遠くへ行きたいと
唄って 喝采を浴びたが
遠くへ逃げたいと 唄う 僕を
SISTER STRAWBERRYは
恥じているようだった」
(キノコパワー/筋肉少女帯)
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