ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
2020年に入ってからずっと体調が悪い。自分の体調を意識すればするほど悪化していくような気もする。病は気から、とは言うがその気を起こさせるのも病なので終わりが無い。今日は研究室に辿り着くなり、意識が飛びそうになるほどの腹痛に襲われてやむを得ず早退した。研究室に配属される前はあんなに気軽に授業をさぼっていたのに、今はなんだか早退するだけですごく後ろめたい。でも今日は仕方がない。そう言い聞かせながら読みかけの本を読んだ。
そんないきさつでジョナサン・サフラン・フォアの『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を読み終えた。
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うたかたの日々
物語の基本的な構造はグラフに表すことができる、と述べたのはSF作家のカートヴォネガットである。彼は縦軸を幸福度(上に行くほど幸福、下に行くほど不幸)とし、時間の流れを横軸に取り、物語の起伏をグラフに表そうと考えた。講演の際、彼は3つの形を例として描写しているが、2016年のデータマイニングを用いた研究で物語というのはおおよそ6つの形に大別されることが分かった、という報告などがある。このあたりの話は「ヴォネガット ストーリーシェイプ」などで検索すると出てくるので気になった人は検索していただきたい。
今回の記事の題材である「うたかたの日々」は、ストーリシェイプの観点から述べると上昇から下降をみせるジェットコースターのような物語だ。
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