告白
生まれも育ちも和歌山で、大学生になってその地を離れたが新しい家も京都で、関西から外で暮らしたことがないのである。だから普段はバリバリの関西弁かというと全然そんなことはない。関西弁と標準語が入り混じったような気色の悪い言葉が口から出る。たまに地元の友達と会うと「喋り方変やで」と指摘され、いかん、故郷の言葉を忘れてしもうとる、となるばかり。何故言葉が混ざったか?恐らくは、大学入りたての頃に仲良くしていた人たちが東の方の人間であったこと、それと自分の和歌山訛りを指摘されることが恥ずかしく、言葉遣いを意識していたことが原因だろう。日に日に関西弁の濃度は薄くなり、独自の気色悪い言語体系が組みあがってしまっていて、ある程度完成したと思っていたのだが、文庫本にして800ページ、京極夏彦かいなと言わんばかりの極厚本である町田康著『告白』が、錆びつき始めていた関西弁の回路に火をつけた。
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ホテル・アルカディア
こんな時なので、個人的に嬉しかった話を一つ。石川宗生の新作が出た。
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